取引先からAI利用の説明を求められたら不安
委託元からの情報セキュリティチェックシートや監査で「生成AIの利用状況を説明してほしい」と言われたときに困らないための考え方と準備を解説します。
「委託先管理チェックシートに『生成AIを利用していますか』という項目が増えた」「取引先の情報セキュリティ監査で、AIにどんなデータを渡しているか説明してほしいと言われた」——受託開発・製造業のサプライヤー・バックオフィス代行など、取引先から情報を預かって仕事をする中小企業で、こうした問い合わせが増えています。この記事では、なぜ聞かれるようになったのか、何を答えられれば十分なのかを整理します。
なぜ「AI利用の説明」を求められるようになったのか
背景はシンプルです。委託元企業は、委託先が受け取った情報をどう扱っているかに責任を持つ必要があり、その一環として「生成AIサービスへの入力の有無」を確認する動きが広がっています。受託者が委託者から取得した情報を生成AIに入力する場合、事前に委託者の同意を得ることを求める整理も一般化しつつあります。つまり、AIを使っていること自体が問題なのではなく、何にどう使っているかを説明できる状態かが問われているということです。
説明を求められて困る典型パターン
- 現場の個々人が便利なAIツールを自己判断で使っており、会社として利用実態を把握できていない(いわゆるシャドーAI状態)
- 「業務効率化のために生成AIを使っています」としか答えられず、どのデータが・どこで・どう処理されるかを説明できない
- チェックシートの「入力データの第三者提供の有無」「データの保管場所」といった具体的な項目に、担当者の記憶や推測でしか答えられない
これらに共通するのは、AIの利用が個人の判断・記憶に閉じてしまい、会社として一貫した説明ができない点です。属人化した記憶に頼らず、日々のやり取りが自動で残っている状態を作っておくことが、この不安に対する現実的な備えになります。
説明できる状態を作る一般的な考え方
専門家が勧める進め方は難しいものではありません。
- 対象を絞る: 重要な顧客データ・機密情報を扱う業務に限定してAI利用ルールを明文化する
- 入力してよい情報を線引きする: 個人情報・顧客情報・取引先から預かったデータなど、入力を禁止する情報の種類を文書化する
- 利用ツールと用途を一覧化する: 「どのAIサービスを」「どの業務で」使っているかを一枚にまとめておく
いきなり本格的な認証取得(ISMS・Pマーク等)を目指さなくても、まずはこの3点を紙一枚にまとめておくだけで、委託元からの質問に対する回答の質は大きく変わります。実際にチェックシートで聞かれやすい項目と、答えられるようにしておきたいことを整理すると次のようになります。
| チェックシートでよくある質問 | 答えられるようにしておきたいこと |
|---|---|
| 生成AI・AIツールを業務で利用していますか | 利用しているツール名と用途の一覧 |
| 入力するデータに個人情報・機密情報は含まれますか | 入力禁止情報の線引きルールの有無 |
| データはどこで処理・保管されますか | 処理基盤(国内/海外、AWS等)の説明 |
| 第三者への提供・再学習への利用はありますか | 利用しているサービスの契約条件の確認状況 |
一つひとつの答えが完璧である必要はありません。聞かれたときに担当者の記憶ではなく、会社としてすぐに参照できる形になっているかが、委託元から見た信頼度を左右します。
HACHでの考え方
HACHは、SlackやTeams、Chatworkに招待するだけで導入できる常駐型AIスタッフで、チャット・メール・カレンダー・議事録を自動で収集し、毎朝レポートとして整理して届けます。個々の社員がそれぞれ判断してAIツールを使う形ではなく、招待した範囲のチャットに一元的に常駐する構成のため、「何に使っているか」を会社として説明しやすい形になります。
また、AI推論時には機密情報を自動でマスキングし、データはAWS内で完結する設計です。この2点(自動マスキング・AWS内完結)は、生成AI社内導入時のセキュリティ検討で扱った稟議前の不安解消にもつながる、委託先管理のチェックシートでそのまま説明材料にしやすい確認済みの事実です。一方で、個別のチェックシート項目(第三者提供の有無・データ保管期間の詳細等)への具体的な回答は契約内容によって異なるため、チャットデータの保持期間・削除についても含め、個別相談で確認することをおすすめします。
社内で誰がどんな範囲でAIを使っているかを把握しづらいという不安は、機密情報のマスキングに関する不安とも重なる部分です。会社として一元的に説明できる状態を早めに作っておくことが、取引先からの信頼維持にも直結します。
まとめ
- 委託元からの「生成AI利用状況の説明」要求は、委託先管理の一環として今後も増えていく可能性が高い
- 個人任せのAI利用は、会社としての説明を難しくする最大の要因
- 対象範囲・入力禁止情報・利用ツール一覧の3点を明文化しておくことが現実的な第一歩
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